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皮と革の話を少しだけ
今回は私たちが創るSWL(スローウェアー ライオン)のブーツにおいて最も重要なパーツ、革についてお話しします。
実は皮(Skin)と革(Leather)は別物です。
「皮」(Skin)というのは、少し生々しいですが動物から皮を剥いだ状態のことで原皮(げんぴ)と呼ばれます。そのまま放置しておくと腐ってしまいます。
その「皮」を植物の渋(しぶ)や薬品(クロム)に浸け、素材に変化が起きないよう加工をしたものを「革」(Leather)と呼びその工程を鞣す(なめす)といいます。
次に「革」(Leather)の種類は牛革、山羊革、羊革、豚革といった動物の種類による分類がありますが、今回はSWL(スローウェアー ライオン)で使用している牛の革についてのお話しです。
牛革の素材としては大きく仔牛革、中牛革、成牛革の3つに分類されます。
生後6ヶ月以内の仔牛革のことをCalf(カーフ)と呼び、主に高級紳士靴や財布、高級ハンドバッグ等に用いられ、革肌のきめが細かく、しなやかな手触りが特徴で牛革の中で最高ランクの革の一つです。厚みは0.6〜0.9mmほどと薄く、また仔牛の革のためキズが少ないのもこの革の特徴です。
次に中牛革ですがこちらはKip(キップ)と呼ばれ生後6ヶ月?2年以内、7?14kgの牛の革のことでCalf(カーフ)よりややきめは粗いですが、軽くて柔らかく丈夫な特徴を持ちます。こちらの厚みも0.8〜1.3mmほどでやはり高級紳士靴やパンプス、ハンドバッグなどに用いられます。
最後の成牛革は更にSteer Hide(ステア)、COW(カウ)、Bull(ブル)の3種類に分類されていて、ワークブーツなどに用いられる厚くて丈夫な革がこちらです。
それぞれに特徴がありSteer Hide(ステア)は生後3?6ヶ月に去勢された、生後2年以上(25?28kg)の雄牛で成牛の中でも若いためしっかりした弾力を持ち厚みも3〜4mmと平均的です。採れる面積も大きく使い勝手も良いため、牛革の中で最も生産量や流通量が多く幅広く利用されていてます。一般的に牛革と言うと、Steer Hide(ステア)を指す事がが多くSWL(スローウェアー ライオン)のブーツの大半も、Steer Hide(ステア)を使用しています。
COW(カウ)は生後2年以上の出産を経験した牝(めす)牛の成牛の革のことでステア、ブルほどの厚みは有りませんがステアに比べ薄くきめ細かい素材です。また生後2年以上でも出産経験のない雌牛は「カルビン」と呼ばれCOW(カウ)より上質な素材として扱われます。
最後ににBull(ブル)ですがこちらは生後3年以上の去勢されていない繁殖用の牡牛の革でかなり厚手になり、繊維組織のあらさも目立ちますが大型で丈夫な革です。その為主に靴底に使用されることの多い素材です。
このように、一口に「牛革」と言っても種類が細分化されていて、それぞれの特徴も多種多様です。それぞれの革が持っている特徴を長所だけでなく短所についても理解して、その特性を把握した上で最適な革であるかどうかを考え選びSWL(スローウェアー ライオン)のブーツは出来上がります。お気に入りのブーツを手に入れられた際には、使われている素材の魅力と違いをじっくりと愉しんでいただけるとより一層愛着がわいてくると思います。
Tools-infinity Director 久木田善隆